キチっているよね

パソコンで書いたキチった話です

未来予想師

未来予想って本当にできるんだろうか。未来に起きることを予想し当てる。いや、そんなこと出来るはずがない。

 私はその日外を歩いていると、未来予想師がいた。道路わきに長机と椅子を並べて未来予想と掲げている。占い師ならまだ分かるが未来予想って何だ。椅子にはRPGにでも出てくる魔法使いような恰好をした女が座っていた。私は本格的にやばい奴かなと思ったが気になったので話しかけてみた。

「あの、未来予想って何ですか。」

「あっ、お客様ですか?私は未来に起きる出来事を予想する商売をやってます。」

「ヘっ、未来の予想って、そんなこと言ってどうせ外れるんじゃないですか?そして『未来の予想を言ったので世界線が変わってしまいました。』とか言って誤魔化したりとか。」

「いえいえ、そんなことないです。疑うなら試しに無料で未来予想してみますか?」

無料だと、うーんまあ何となくやってみるか。私は予想してもらうことにした。

「それでは世界線が変わらないように、予想は紙に書きますね。それをあなたが期日まで持っていてください。書いてあることを見てはいけませんよ。期日になったら持ってきて答え合わせをしましょう。」

女はそういうと、隠しながら紙に書き始めた。そして、小さく折りたたまれた紙を3つ私の前に置いた。紙にはそれぞれ1から3までの番号が書いてある。

「これで世界線が変わらないんですか?」

「ええ。誰かが予想を知ることがなければ問題ありません。紙に書いた程度じゃ変化はしませんし。つまり、予想してないのと同じなんですよ。」

ホントか?まあ私が変に疑ったからこういう面倒なことをしてくれたんだ。別にいいか。

「あっそうだ、箱があるんですけど、もし不安なら紙をこの箱に入れて保管しますか?」

おっ、ちょうどいい。もしかしたら失くすかもしれないと考えていたところだ。

「期日は一週間後です。あんまり期日が長いのもアレなので、割と近くにしました。あんまり凄いことは書いていませんので期待しないでくださいよ?」

私は箱を受け取りその場を去った。私は紙を箱に入れ、押し入れの中に保管した。もちろん誰も見ないように言っておいた。一日一回は箱を開けて中身の様子を点検した。

 そして一週間後、私は再び未来予想師のところを訪ねた。いったいどんな予想をしたのだろうか。

「では、紙を開きますね。」

私はドキドキして紙を見た。するとそこには衝撃的なことが書かれてあった。

 

 

1.あなたは一週間後にこの紙を持ってくる。

2.1の予想は当たる

3.あなたは怒る

 

...え?なんだこれは。

「あの...何ですかこの予想は。」

「未来予想です。」

「いや、ふざけないでくださいよ。1番とかあなたが指示したことじゃないすか。」

「はい。でもあなたは来ないという選択も可能だったんですよ。少なくとも決まりきった未来ではありません。それにこれだって未来の予想ですし。」

「ええ!?何ですかそれ!ていうか2番なんて1番と連動してるじゃないすか。こりゃ卑怯ですよ。」

「なにを言うんですか。あなたは私が手抜きの予想をして数を稼いだとお思いかもしれませんが、これは1番を外したら2番も外れるというリスクを負っているんです。つまり、予想を同時に成立させるという非常に高度なことをやったんですよ。」

何を言ってるんだ。そして3番の予想だが、これはどうしよう。ここは怒ってないと言ってこいつの予想が外れたことにしてやるか?あーでも既にちょっと大きな声出しちゃったしな、どうしよう。

「三番の予想はどうでしたか?」女が聞いた。

「えっ、どうでしたって?」

「三番はあなたに関する予想です。結果はあなたが判断してください。」

「あ、じゃあ怒ってないです。」

「ふっw嘘でしょう、あなた怒ってましたよ。そうやって嘘をついて私の予想が外れたことにしようって言うんですか?小賢しいですねぇ。」

何だとこいつ!あ、怒っちゃった。いや怒っちゃったじゃねえよ。もう帰る!私が帰ろうとすると女が呼び止めた。

「箱のレンタル代、5000円になります。」

「えっ?いや、あの時無料って言ったじゃないですか。」

「あれは未来予想が無料ということです。箱のレンタル代は別です。」

「じゃああの時レンタル代があること言ってくださいよ!」

「でも、あなたは箱を受け取らないという選択も可能だったんですよ。それと人の話はよく聞いておいてください。」

もう我慢ならん。このエセ未来予想師め。私はこの詐欺まがいの未来予想師から逃走した。取りあえずマンションまで逃げれば勝ちだと思った。走っていると後ろから「待ってください!そんなに走ると車にひかれますよ!」という声が聞こえてきた。ふんっ、それも未来予想ってか?私は構わず走り続けた。そして次の角を曲がった瞬間、自転車と激突した。私は全治一週間の怪我を負った。