乾燥剤の自由帳
あ~!前回の料理は大失敗だったなー。まさかあんなことになるとは。一応言っとくが、残飯オムライスは悪い料理じゃないんだ。いつもはもっとマシになる。あの時は緊張してたのか失敗しすぎた。だが、動画投稿という案はちょっと悪くなさそうだ。うちはそんなに貧乏というわけではなく、時たま窮地に陥るぐらいなので、動画ならいつでも撮れるし。でもネタがないなー、料理は続かなそうだし、メントスコーラなんてもったいないことはもってのほかだ。今日は八島がバイトの面接だから3人でやらなくちゃいけない。おいトリ大統領、なんかいいなネタないかな?
「うーん、アニメ見たいなー。」
何言ってるんだ真面目に考えてくれぇ。アニメなんて最近はほとんど見ない。でも、あのクソアニメは見たことがある。ちょっとやってみるか。
「トリ大統領、えいえい。怒った?」
「ああ、怒った。」
私はトリ大統領を完全に怒らせてしまった。いやそんな簡単に怒るなよ、やめてー。え?冗談かい。乾燥剤は何かないか?
「しょ、商品紹介がいいとおm」
「バカヤロゥ!!!商品紹介なんてやるようになったらおしまいだ!あれだけは絶対に...」
いいか、もっと良い内容で手軽な...あ、そうだ。私は乾燥剤の部屋に行き、押し入れの奥の段ボールの中、彼の学生時代の物をあさった。そして見つけた小学1年生の時の自由帳。これこれ、迷路とか漫画とか書いてあるんだっけ。
ピッ
「はい、じゃあ今回は、乾燥剤君の自由帳の迷路を攻略します。」
おい何してんだwと駆け寄る乾燥剤と、面白そうだなと駆け寄るトリ大統領。
「今回はこの迷路をやります。トゥートゥートゥートゥトゥ~。」
あらかじめ解いた迷路だったんだが、本番の緊張で忘れてしまった。
「え、ええーと、確か迷路は片側の壁を伝っていけば必ずクリアできるんだよね?トゥートゥートゥ~。」
結局15分かかった。こんな小学生の迷路でこんな様だなんて、編集したら1分でもこれじゃ悔しい!次のページ!うわっ、何だこの迷路。
「あぁーそれ大作なんですよ、一週間かけました。」
いや、でも汚ねえなあw通路が壁でつぶれてんだが。何かモンスターとかもいるし。取りあえずやってみるぞ。予想通り難しかった。
「何これ、ワープ?どこに繋がんの?」
「えと、これはここの塔につながります。」
「ねえモンスターいるけど、この300Pって何?」
「300ポイントないとこのモンスター倒せないんです。だから戻って300ポイント集めてくださいw」
「ポイントどこにあんの。」
「道に落ちてたり、雑魚モンスター倒したり、宝箱の中にあったりです。」
「そうか。」
迷路には他にもリフトや大砲や歯車やボス部屋や色々あった。クソだるいぞオイ。無理だろこんなの、乾燥剤はクリアできるのか?
「いえ、できません。ポイントの管理が難しくて......」
ハァ~、適当にパラパラめくった。漫画があった。字が汚くて読めんぞ。ん、これは。
「あっ!それはちょおっと!!」
なんとポエムがww乾燥剤は一気に焦り始めた。
「えー朗読しますw『わが心にやどる、しっ黒の破天使よ・・・』ん?堕天使じゃねえの?」
後ろで絶叫をあげる乾燥剤をトリ大統領が押さえている間に読み進める。
「しっ黒の破天使よ・・・われをほうむりたまえ!!!」大丈夫か。
「まもなく、闇がくる。しっ黒のカラス色の電車が、われをむかえにくるよ。このしっ黒をダークエフォンルスが作り出す時、われの右ひざはうづく。ハハハ、封印されし闇のししゃは、ふたたびしっ黒の地のそこからはい上がり、ゴラルガ型まどう戦車でじゅうりんするだろう・・・。」漆黒使いすぎだろ。何だ魔道戦車って。
「やめろォーー!!!やめてくれーーー!」自由帳を取り返そうとする手をかわしながらさらに音読する。
「神のしんせいな伝言が、せかいをゆるがすその夜、われはたん独で悪魔とけい約こそすれ、しんせのじゃおうのちょうまりきでんしをしょうかんののち、アポをとりつつ神えんとだんまつまのきゅうじょうへと、かの街角のおく、だれも知らないろじのかべに、しずかにじゅもんをとなえ、われは死し、せかいはじゃおうのしぶつとかす。」
だ、そうだ。
「というわけで、今回の動画はここまでとなりまーす。次回は自由帳の最後の方の、すごろくを時間があったらやりたいと思いまーす。それではさよならー!!」
いろいろ話し合った末、動画は迷路部分のみの投稿となった。もちろん再生回数は0でした。もう動画やめようかな。