キチっているよね

パソコンで書いたキチった話です

YouTuberのお料理

あーつまんねつまんねぇ。あ~つまんね!

と、言いたそうにトリ大統領がこっちを見ている。もうそろそろ言うんじゃないか。確かに私もつまらん。何しようか。

「お~い乾燥剤。何かすることないかー?もしくは面白いもの。」

「あー、そっすね、なんか最近YouTuberが流行ってるらしいんで試しにやってみますかねぇ?」

おおいおいそりゃ何年前の話だよ。もうとっくにみんな飽きとるじゃろつまらんわ。いや、でも昔ゲロみたいなマックシェイクとか作ってる動画見たな。YouTubeじゃなかったけど。俺もそういうの作って友人に食わせてみたいな。よし、やろう。おい乾燥剤、やるぞ。部屋に籠って趣味に没頭してる八島も引っ張り出して、全員で何か作る動画を撮影することにした。とはいえ普通にゲロ料理作ってもなぁ、そうだ逆に真面目に料理を作るか。もううち家計がカツカツでやばいのだ。上手い料理で機嫌を取って何かめぐんでもらおう。ついでに沢山再生されて広告収入がもらえたら儲けもんだし。虫が良すぎる発想だな!そう思いつつ、作る料理を話し合った。結局いつもの残飯オムライスに決まった。残飯オムライスってのは残飯をねじ込んだオムライスさ。卵とケチャップで誤魔化して食べるのだ。

 さあ、Let's cook!

 

・補足

Let'sはLet usからきていて、letは使役動詞なのでそのあとに来る動詞は原型になる。よってLet's cooking!ではない。

 

えーとまずフライパンに油を入れるんだっけ。実は私はあまり料理をしないのだが、みんな撮影とかやりたいと言うので私が料理を作ることに。助手として八島が何かする。カメラは乾燥剤だ。棚に拾った油があったはずだ。拾い物の油は空き缶に入れてある。前にコーラの缶に入ったオリーブオイルを使ったら航空燃料だったという事件があった。それ以来オリーブオイルはコーラ、普通の油はレットブルと決めてある。油を入れたら既に八島が切った鶏肉を入れる。鶏なら平気なようだ。まあ中身は人間だしな。っておい切り方雑じゃねえか?まあしょうがない。うちの包丁勤務歴長いしな。するとトリ大統領がバターが入ってた方がいいとか言って欠片を放り投げた。おいそれはバターじゃなくなってきたバターじゃないか!捨てようと思ってたのに!まあほんのひと欠片だしいいか。次に玉ねぎを入れる。ちなみに鶏肉と玉ねぎはうちでは珍しく店で手に入れたものだ。普段は近所からもらったりしている。ジャージャーと炒める。

 玉ねぎが透き通ってきたので塩と胡椒を加える。ええーと、塩と砂糖が無数に書かれた入れ物が二つあるが。どっちが塩なんだ。どうやら入れ物の中身がちょくちょく入れ替わるらしく、そのたびに訂正していったらしい。何言ってるんだ大統領。全く、大統領はこういう謎発言が多いからたまに困るよ。よく言えば不思議君なのだが。トリ大統領曰く砂糖は右らしい。塩を入れる。胡椒はこけしを改造したとても分かりやすい入れ物で助かる。と思っていたら胡椒を取ったとき腕がぶつかってモンスターの缶がフライパンの中に落ちてしまった。ジュウーーー。うわあ!慌てて拾ったが少し中の液体が入ってしまった。

「ちょ、これ何が入ってるんだ!?」うちではモンスターの缶に入っている液体がモンスターとは限らない。乾燥剤が口を開く。

「ええと、確かめんつゆだと思います。」

バカ野郎、何で蓋しないんだ。確かコルクがあっただろう!も~しょうがないっ。続けるぞ。しかしこのままだとマックシェイクまではいかなくとも、例の胸毛系YouTuberか人類絶滅教室の動画みたいになるぞ、気を付けよう。

 お次はご飯を投入。冷凍したカチコチのご飯だ。解凍するとうわーパサパサだ。これいつの?んで、ここで残飯も入れる。毎回違ったものを入れるので飽きないぞ。今回は何かな。カレー(1週間寝かせ)とクリームパン(変色レベル2)と生卵(まあなんとか)とミックスご飯(色々)と煮物やツナ缶やタエテソークやシュークリームなどなど。一応ゾンビーフ(古い肉)の類は使わなかったが結構やばいな。まあうちの家計の方がやばいしやむを得ない。そしてケチャップで誤魔化すもとい味付けして、木べらで混ぜる。この時できるだけ圧縮するのがポイントだ。よし、これで中身は完成だ。と思ったらトリ大統領と乾燥剤がいない!リビングに駆けつけるとなんと二人で商品紹介をやってるではないか。アホー!そんな馬鹿な真似はよすんだ!!机上のお菓子を払いのけ二人に台所へ戻るよう言った。どうやら嫌な予感がして別動画を作っていたらしい。おいそんなこと言うな!私だって不安なんだ、とにかく成功を信じよう(泣)

「あの~次何するんですか?」台所から声がする。

「中身をラップ敷いた皿に入れて。そしたらフライパン軽く洗って、ボウルに生卵入れて。」私が指示したとき、トリ大統領が乾燥剤に言った。

「そういえばオリーブオイルがコーラで食用油がBOSSだよな。」

「ああ。」

何ッ、今の会話は聞かなかったことにしよう。

台所に戻ると、ボウルの中に殻が入っていた。ああもう、仕方ないので殻を砕き無いも同然にする。そこに牛乳を入れる。ん、何か茶色いぞ?!

「すいません!チョコ入れました。」乾燥剤が言った。ああそういえば牛乳が不味くなってきたらチョコ入れて誤魔化すとか言ってたなあ。先に言えよっ!もう入れちゃったじゃないか。さらに塩も少々。塩を入れた後、何気なく指に付いた塩をなめてみた。甘いぞ。ちょっとトリ大統領、左の入れ物じゃないんじゃないか?そしてボウルの中身をかき混ぜる。白身と黄身が混ざったらフライパンに入れるぞ。まずはBOSS缶の中身を入れ、中火で熱する。その後ボウルの中身をフライパンに投入!飛び散ったが気にするな!フライパン全体に広げて菜箸で混ぜる。卵が半熟状になったら火を止める。少し(割と)焦げました。次にさっきの残飯を卵の上に楕円形になるように置く。諸事情で楕円形には収まりませんでした。さあいよいよ卵をかぶせる時が来た。破かぬよう慎重に、フライ返しで卵をはがしていく......。結果はみんなの予想通り、卵がかぶりきりませんでした。どうする!?

「伸ばせっ!伸ばせっ!」

「引っ張るんだw」

「君ならできるよ(笑)」

まあーみんなろくなこと言わない。ちょっとふざけてる場合じゃないぞ全く。君たち悪ノリはよしてくれ。私はみんなのいじりを背にそっと卵を引っ張った。少し亀裂が入る。いや無理だ。どうせ破れる。足そう。私はもう一枚卵を用意して二枚がかりで包むことにした。冷蔵庫を開けると卵がもうない。ハァ、しょうがない。このまま皿に移すか。オムライスをひっくり返すように皿に移す。ぐしゃっ。ぼろぼろ。具材がもれ出す。おい誰だシゲキックス入れたの。残飯の上に卵のカバーをかける。残飯の下までは卵が届いていない。ぐっちゃりした残飯オムライスを、全員が静かに見ていた。

「え、ええと、残飯オムライスの完成でぇーす!」乾燥剤の声がむなしく響いた。

仕上げにケチャップをかけたが、途中で底を突きたのでソースもかけた。変な臭いがしていたので香辛料も振りかける。ただあまりにもアレなので、付近にちぎったレタスをばらまいて装飾した。

 いざ友人宅へ。カメラの前でオムライスを公開すると、彼は「うわぁ~ww」と大げさなリアクションをした。おいおいふざけて作った料理を食わせる企画じゃないんだぞ。でもそうとしか見えない。結局彼は完食したが動画の再生回数はたいして伸びなかった。でも彼から10万円もらえた。やった。