キチっているよね

パソコンで書いたキチった話です

クラクションについて

あれは昔、私が車を運転していた際の話だ。交差点を直進しようとしたら、急に対向車が右折して私の車の前に躍り出た。このとき格安教習所でじじいの教官が教えてくれたことを思い出した。じじいは言った。

「いいかお前ら!!クラクションはなぁ、危ない!って思う前に押すんだ。危ないって思ってからだともう遅い。ぶつかる、抱え落ちだ。そんなことは許さん!いいか、やばそうだなっていう段階でもう押すんだ。じゃないと意味がない。初心者は避けようとすんな、バンバン使え!!(バンバン叩きながら)」

「あの...押したらどうなるんですか...」

「グレイズするんだ。直撃よりか良いだろう。」

というわけで、このクラクションの教えをもとに私は押した。

ブー   ガガッ

かすった。私は被害を確認するため、交差点を通過した後路肩に停車した。良かった、ちょっとへこんだだけだ。相手の車はまだ交差点にいる。何をしているんだ。やがて同じように路肩に停車した。私は車に駆け寄り、運転手がドアを開ける前に開けて平謝りした。相手も車を確認、傷がついただけのようだ。さらになんと凄く謝ってきた。すいませんすいませんっ!と何度も何度も頭を下げて。どうやら自分が完全に悪いと思っているらしい。これはしめた、責任や賠償云々が9対1ぐらいになるんじゃないか。私はひそかに期待した。やがて警察が来ていろいろ話しているうちに雲行きが怪しくなってきた。警察曰くクラクションは悪かったという。相手はクラクションにびっくりして一瞬硬直してしまったらしい。これじゃあ自ら呼び止めてぶつかりに行ったようなものだ、とか言ってきた。反射的に押したんだ、思わずなんだーと色々説明するも、相手もしめたと思い便乗。いやーあれはびっくりしましたねぇ。あれでしばらく動けなかったですもん。あのクラクションがなければねー。だそうだ。さっきの猛烈な謝罪はどうした。結局私の非も大きかったとかで5対5になってしまった。クソオ!!クラクションさえなければ!そしたら4も増やされなかっただろうに!私は二度とこんな目に合わぬようクラクションを封印した。

 それから月日は流れ、ある日高速を走っていた時のこと。隣に車が来た。並走している。すると突然その車の助手席のドアが開いた。私はあいつ大丈夫か?と思ってチラチラ見ていたら、マジックハンドが伸びてきて私の車の運転手席の扉をあけられ、シートベルトをがっしりとつかまれた。急いで護身用のサブマシンガンをグローブボックスから取り出したが、こういう場合どうなるんだろうと思いマジックハンドの先端をしばらく眺めていた。私の車は突然横に来た知らない車とマジックハンドでつながっている。見ると、マジックハンドを持った男がこちらをドヤ顔半笑いで見ている。私は真顔でマジックハンドの先端を見つめていたが、どうも先端が体に食い込んで痛い。このままだと事故りそうなので仕方なく撃った。町の中古屋で買ったボロ銃がパパパっと火を噴いた。相手はピギャアと言って慌ててドアを閉めたがマジックハンドの柄が邪魔をして閉まらない。柄を挟んだまま車は走る。しかしよく見ると何やら煙のようなものが柄を伝って来ているではないか!これは、導火線か!?とすると柄の先端付近の変な色の部分はダイナマイトかな、と思いどうすればいいか熟考していると、前から車がやって来た。その車は対向車線をはみ出し私の車の正面に躍り出た。私はクラクションは押さなかった。うわーっと思う間の後激突した。どうやら運転中にうとうとしてたらしい。そしてマジックハンドの車はそのまま逃げていった。幸いにもダイナマイトではなかったので爆発はしなかった。ただ、クラクションを押せばよかった。クラクションは大事だ。